特別講師をお招きしたオフピッチとオンピッチの講義の様子をお届けします。
『Nike FC presented by Soccer Shop KAMO』の活動の第七回目は、愛知県 東邦高等学校サッカー部にて実施。
オフピッチとオンピッチの講師に「スポーツジャーナリスト/パーソナルコーチ」中西氏をお招きし、『PRECISION:精度』のテーマで講義いただきました。
PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY オフピッチ KICK OFF。
オフピッチでは『さらなる成長に向けて』というテーマで講義。
ワークショップ形式の講義で、中西氏独自のトレーニング方法を論理的に伝えた。
上手くいったプレーを言語化し論理的に学ぶ事で再現性を生み出す。
「論理的に納得して練習をする事が一番自分を進化させる」と選手達に思考の重要性を説き、
目標を持ち、そして達成するためにどうすべきかを自分で考える必要性を伝えた。
成長のために変えるポイントは3つ。
・呼吸
・姿勢
・左右差
プロサッカー選手も実践するトレーニングに選手達も真剣に耳を傾けていた。
【呼吸】
呼吸を変えるためには舌のポジションを変える事が重要。
舌のポジションによって首のポジションが決まり、姿勢の良さに繋がる。
「呼吸が変わればプレーも変わる」
人は1日に約2万4千回の呼吸をすると言われており、1回のクオリティを上げる事がプレーや姿勢の向上に繋がる。
舌のベストポジションは舌先が上あごに付いている状態。
ベストポジションな状態になる事で、呼吸時に首が後ろに行くようになり姿勢の良さに繋がる。
◆トレーニング方法:舌を回す◆
くちびるとほほの裏をなぞるように舌を回す事で筋力トレーニング。
舌のトレーニングを行い筋力をつける事で、自然にベストポジションな状態を作る事が出来る。
このトレーニングは回数や時間ではなく、空いた時間やシチュエーションを決めて都度行う事が効果的。
自分でルールを決め、毎日のトレーニングを行う必要がある。
【姿勢】
首と頭の位置がプレーに深く関わっており、頭の重さをうまく使う事が重要。
頭は体重の10%を占めており、15°傾くと感じる重さと負担が2倍になる。
首と肩が前に出てしまう事で肩甲骨が使いにくくなり、プレーに影響がでてしまう。
「首の位置を良くする事が重要」
多くのプレーヤーは体と肩の傾きが連動しているが、この状態は肩を平行に戻すタイムロスが発生する。
首の位置が良くなる事で、体が傾いた場合も肩が傾かなくなり、
目と肩が地面に平行な状態を保つ事で、左右どちらにも素早く動き出す事が出来る。
◆トレーニング方法:肩の平行移動◆
椅子に浅く腰掛け、足は肩幅の状態で肩を右→中央→左に平行移動。
この時、反力を利用するために足は地面と垂直、頭の高さを一定な状態でお尻と足が上がらないように意識する。
ポイント
・へそとみぞおちをそれぞれ人差し指で触って距離を確認し、離れている状態を意識。
・前かがみや反り腰にならないように、首の位置を意識。
頭の上に500mlペットボトルを乗せトレーニングを行う事で、より平行な状態を保つ事が可能。
【実際の講義風景:頭の上に500mlペットボトルを乗せ肩の平行移動】
【左右差】
人は左右差があり、踏み出しなどにくせがある。
逆足が出にくい状態では常に最高のプレーが出来ない。
「左右差が無くなればサッカーはさらに楽しい」
左右差を無くす事で逆足が出る様になり、全てのシチュエーションに対応が出来る。
特にディフェンス時は左右遜色無い事が必要である。
◆左右差の確認方法:つま先とかかとの上げ下げ◆
左右の足で異なる動きを20回行い、動きのズレが左右差。
この時、一定のテンポと遅くなりすぎない事を意識する。
【実際の講義風景:つま先とかかとの上げ下げ】
【シュートコースの体積を増やせ】
シュートは直線より曲線の方がシュートコースの体積が増えてゴールの確率が高まる。
反応が出来ない強いシュートやタイミングを外す遅いシュートが入るだけではない。
現代サッカーでは直線よりも曲線が決まりやすいので”狙ったコースは逃がさず”曲線の思考を持つ事が重要。
講義の最後は中西氏より成長へのアドバイス
自分を信じる=自信。自信をつけるために『自分との約束』を守る必要がある。
今日すべき事は明日に持ち越さない。未来の時間を使う事で成長出来るチャンスを逃してしまう。
「誰も見ていない時も自分は見ている」と語り、妥協せず取り組む必要がある事を伝えた。
PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY オンピッチ KICK OFF。
オンピッチでは『精度を高める技術』というテーマで講義。
オフピッチ講義とリンクしたトレーニングで技術と思考をセットにするアドバイスを送った。
トレーニング開始前に中西氏よりスパイクの履き方を伝授。
スパイクの履き方にもこだわる事で、素晴らしいキックを生み出せる。
指先をグーの状態で履く事で、プレー時に地面からの反力をもらいやすくなり、反力をキックのパワーに替える事が出来る。
ウォーミングアップは2人1組のトラップ。
足踏みを行いながら、左右の足裏・インサイドでしっかりボールを止めるトレーニング。
ボールの上部と上半分を斜めにタッチする感覚をつける事が目的。
続いてはトラップ時に軸足でジャンプして着地と同時にボールタッチ。
ジャンプをする事でボールが跳ね返る力を逃がし正確なトラップが出来る。
【ポイント】
・ボールの上半分を斜めにタッチ
・ボールが一番止まる位置を自分で探す
・頭の重さと反力を利用するために頭の高さを変えない
続いて四角形でのトラップ。
トラップ時に90度回転し逆足でパスをする事で、同時に2つ以上を事を行うトレーニング。
ベストなトラップが出来た際にはターンやターンのキャンセルを行う。
右回りと左回りを行う事やテンポよく1、2のリズムをキープする事、ターン時には切れ味を意識する事が重要。
また、出し手の意図をくみ取りターンする事で、前を向く技術が身につくようになる。
【ポイント】
・頭を上げたままプレーにするために、首は横に振る
・軸足のつま先を90度踏みかえる事で、自然に横向きになるように意識
・ターンの切れ味を出すために、後ろ足でボールをひっかける
・芝を這わせるようにキックし縦回転を意識
中西氏よりトラップとパスの精度を高めるアドバイス。
トラップは蹴り足を意識し「右足は右胸前」「左足は左胸前」にトラップをする。
ゆるいパスは練習にならないので、試合で使うパスを意識する事、周りの選手が指摘し要求する事の重要性を語った。
練習のミスは試合でのミスと同じなので、ミスの内容をしっかりと確認して修正する必要がある。
【実際のトレーニング風景:トラップ練習】
アクション/リアクションステップトレーニング
左右のステップを行う事で左右差を無くし、足出しをスムーズにするトレーニング。
テニスボールを使用してステップと動き出しを指導。
アクションステップは1、2のテンポで外へ素早くステップ。
リアクションステップは指示に応じて1、1,2のテンポで外か内へ素早くステップ。
【ポイント】
・体を沈ませずに頭と肩が平行な状態を意識
・ステップは切れ味を意識
・左右に動けるようにかかとをしっかり着地させる
・素早く動くために、逆足は引き上げる
【実際のトレーニング風景:アクション/リアクションステップトレーニング】
今回はテニスボールを使ったトレーニングを実施しました。
キックトレーニング。
キックのフォームや感覚を身に着けるためにスワイプ(ボールをひっかける)トレーニングから開始。
スワイプ後に軸足ジャンプを繰り返し行い、キックに必要な動きを指導。
【ポイント】
・ボールの下半分をタッチ
・ゆっくりと丁寧に長くボールをタッチ
・蹴り足ではなく軸足の股関節を意識
スワイプの感覚を身に着けた後はボールのキックトレーニング。
インサイドキック、軽い浮き球、強いボール、インカーブのキックを指導。
スワイプの感覚を意識する事で、より精度の高いキックが出来る。
【ポイント】
・インサイドキックはボールが重くなる感覚と押す感覚を意識
・蹴り足は低く振り、つま先を下げる
・インカーブは体の外にボールを置き、ボールの中心を蹴る
この時、つま先を相手に向ける事で自然とインカーブがかかる
最後はシュートトレーニング。
曲線の思考とトレーニングの技術をセットにする実践的な指導。
インパクト部分はシューホールの一番上付近を意識し、ボールをよく見てシュートする事が重要。
【ポイント】
・曲線のイメージをしっかり持つ
・足首を伸ばしてゆっくりと振りぬく事でボールの高さを出す
・キーパーのタイミングを外すために目線を送らない
・ここまでのトレーニングを意識
トレーニングの感想を問われ、
「新しい刺激になった」「楽しかった」と充実した表情で回答する選手達に
『楽しい感覚が一番大事』『出来ない事があるほど上手くなれる』と語る中西氏。
”気合では試合に勝てない”
上手くいったプレーを論理的思考で言語化し再現性を上げる事、
成長のためにお互いに厳しく指摘をする重要性を伝えた。
やれるかなでは実現出来ない。やると決める事で実現出来る。
「限界を決めればそれ以上の成長は出来ないので、限界を決めずに取り組んでほしい。」と語った。
「左右差無くプレーするためのトレーニングしたので、反復練習で攻撃と守備の両方で良いプレーをしてください。」
と締めくくった。
『PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY』終了後は全員で集合写真。
次回の『Nike FC presented by Soccer Shop KAMO』もご期待ください。